不動産クラウドファンディングとソーシャルレンディングを比較してみる。
不動産クラウドファンディングとソーシャルレンディングには共通点が多い
いろいろ調べてみると、不動産クラウドファンディングとソーシャルレンディングの間には、いろいろと共通点があることが分かります。
両方とも匿名組合が良く利用されてる
ソーシャルレンディング・ラボによれば、不動産クラウドファンディングでもソーシャルレンディングでも、運営会社と投資家との間の契約形態としては、匿名組合型がよく用いられている、とのこと。
匿名組合は商法第535条で定められたパートナーシップなのですが、匿名組合員の責任に、「有限責任性」が確保されているなど、投資家サイドのリスク軽減のためには優れた仕組みです。
※ただし、組合の営業者の運営内容に対して反対表明をする機会がない、など、匿名組合ならではの歯がゆさもあります。
ソーシャルレンディングはもとより、不動産クラウドファンディングのスキームにおいても、匿名組合型が良く活用されている、という点は、知っておくべきでしょう。
利回りも大体同じくらい
不動産クラウドファンディングでもソーシャルレンディングでも、その期待利回りは、だいたい年率で5パーセント前後くらいが多いです。
リートの分配金平均よりも、ちょっと多いくらいですね。
高利回りなのは確かなのですが、弱点は、両方とも、総合課税の対象となる、ということ。
所得の低い人であればあまり気にならないでしょうが、投資に取り組む以上、一定以上の所得のある人が多いでしょう。
その場合、給与所得と合算されて、高税率が課せられることとなる場合があります。
※その点、リートのほうが、申告分離課税が利用できて有利ですね。
ファンドの運用期間も概ね同じ
不動産クラウドファンディングでもソーシャルレンディングでも、ファンドの予定運用期間は、大体数ヶ月~半年、1年程度が多いです。
ソーシャルレンディングの場合は比較対象が難しいですが、不動産クラウドファンディングの場合、現物不動産投資と比べると、はるかに短期ですね。
ただし、不動産クラウドファンディングの場合、任意組合型のクラウドファンディングの場合は、運用期間が10年を超えるケースもあるようなので、注意してください。
元本割れのリスクや、ファンドの運用期間変更のリスクも同じ
不動産クラウドファンディングでもソーシャルレンディングでも、元本割れのリスクがある点は同じです。
また、ファンドの運用期間が延びたり、逆に短縮されたり(早期償還)する、という点も、似ています。
ファンドの運用期間が延長になるのは、不動産クラウドファンディングの場合、物件が売れなかった場合です。ソーシャルレンディングの場合は、借り手が延滞した場合ですね。
ファンドが早期償還になるのは、不動産クラウドファンディングの場合、不動産がさっさと売れてしまったときです。ソーシャルレンディングの場合は、借り手が繰り上げ返済をしたとき、ですね。
不動産クラウドファンディングとソーシャルレンディングの違い
いろいろと共通点もある両者だが、もちろん違いもあります。
投資対象が違う
不動産クラウドファンディングの場合、営業者がファンド資金を使って投資するのは、不動産です。
これに対し、ソーシャルレンディングの場合、営業者は、ファンド資金を活用して、外部の借り手企業へと融資を行います(=投資家目線から見ると、貸付債権が投資対象物)。
監督官庁が違う
不動産クラウドファンディングを運営する不動産特定共同事業者を監督するのは、国土交通省です。
これに対し、ソーシャルレンディング事業者(貸金業者であると同時に、第二種金融商品取引業の登録業者でもある)を監督するのは、金融庁です。